『ゆる本Vol.30,31』の補遺など備忘録

 うちのサイトのAboutページをスクロールしていくと、寄稿先の情報が出てくるのですが、『ゆる本Vol.30』はオフセット誌なのにコピー誌となっていたのを修正しました。
 これ、自分が継続して寄稿していた頃はコピー誌だったため、秋山さんから著者献本を受け取るまでオフセットになっているとは思ってもなかったのです。受け取った時点で修正していないので、なにを言っても言い訳になりますが(‥;)

 文学フリマが全国展開をはじめて、文芸同人では毎度お世話になっている秋山さんの雲上回廊も全国行脚をはじめました。『ゆる本』もそれに合わせて発行されるため、『Vol.30(初頒は16年9月の文学フリマ岩手)』と『Vol.31(初頒は16年11月の文学フリマ東京)』を両方揃えている方はどれくらいいるのでしょう。なお、これより前のバックナンバーから読んでいる方はもっと少ないと思いますが、こちらは全て電子化されているため、勘定には入れません。

 ぶっちゃけ、今回“も”東京文フリには行けなかったので、実際のところ刷り部数に対してどれくらい出ているのか私は知りません。今年下半期はイベント*1に行くつもりで予定に組み込んでいても、いざその月になると別の予定が入ってきたり体調を崩したりして行けてません。

 話が逸れました。
 えっと、『ゆる本Vol.16』以降、私の短編小説にちらほらから登場する「千住きすか」というキャラクターがいます。『ゆる本Vol.30(『電信柱のキツツキ様』)』からきすかと「高崎舞羽《たかさきまいは》」という小娘二人をレギュラーキャラに据えたオムニバス形式で書くようにしたので、忘れる前に少し触れておこうと思いました。

 といっても、大したことじゃないんです。
 『ゆる本Vol.16』と『Vol.17』の千住きすかと『Vol.30』以降(『Vol.31(『Eternity Of Moment』)』含め)の私の作品に登場する千住きすかは、容姿も性格も変わってませんが同名異人です。当然ながら背景世界も違います。
 書く側の都合をぶっちゃけると、過去作のキャラをサルベージしてリライトしたためこうなりました。相方になる舞羽については、きすかと絡みやすいタイプを模索しつつある程度書いていて楽しめるキャラにしてみました。

 きすかは「なんとなく日本人っぽくない名前を平仮名で」という発想から名前を考えて、むかーし考えた「町の一角の(主に住環境の面における)権利を有している人間だから千住」というネタを掛け合わせてつけました。
 舞羽は、永久る〜ぷという同人ゲームサークル(現在は活動休止)のSTG『TWilight INSaniy』の三組目の双子主人公ホシミ姉妹の姉ホシミ マイハ(星海 舞羽)から名前を拝借しました。容姿も性格もまるっきり別人ですが。
 書いておかないと忘れそうなので、いま書いています。

 当初の目論見では『ゆる本』に限らず、このオムニバス短編を書いていくつもりでいたのですが、実際はそんな余裕はなく次も『ゆる本』への掲載と相成りました。
 9月の更新時にサイトトップに書いた「掲載の場が『ゆる本』になるとは限りませんが……」というひと言は当時のこうした考えからのものなのですが、現実は甘くないです。
 現実は甘くないです。

 ところで、『ゆる本Vol.30』は添田健一さんの『鳥占いし少女』の連載がはじまった号でもあり、私がこの号からオムニバス形式を採用したのはただの偶然です。
 添田さんからはTwitterで「偶然というよりも、常連寄稿者同士が雑誌の躍進を考えた結果という流れでしょうか」というリプライをいただきましたが、私はといえばその様な殊勝な心がけは微塵もなく、「連作を提供し続けられるフォーマットを作って書いてみる」という考えと刊行のタイミングが合ったからという理由でしたorz。

 『ゆる本』については、有難いことに購入してさらにはこの作品に言及してくれる人がいて、そこに来て同業者(この場合は添田さん)からも「次も是非是非」と背中を押されると、次も出さなければいけないのではないかという義務感に似たものを感じます。
 あと「次が出そうな作品」を世に出してしまったことに対する責任感のような意識の芽生えがあり、

 この様な葛藤が生じます。(出典:佐藤明機『ビブリオテーク・リヴ』コスミック)
 どうしよう?

 そして、もう一つ。自分の作風は「架空の存在を文章表現で可視化する(=想像力に働きかける)」ことが根底にあるので、添田さんの作風とこのやりかたが『ゆる本』という誌面で対照的な存在になってしまっているのでは? という問いの解を得るには続けてみるしかなく……。
 どうしよう?

 どうしよう? といえば久しくブログを書いていなかったので、宣伝とか感想とかなにかしら明確な意図のない記事の書き方を忘れかけています。
 それから、私自身の変化もあります。なにか気になったことがあって勢いで文章にしても、それを公開すること疑問を抱くようになり、最近では勢いで書く前に自分の中に留め置くようになりました。
 これが良いのか悪いのかわかるのは、たぶん五年か十年かそれくらい先じゃないかと思います。
 歯切れが悪いですが、こんなところでいったん結びます。

*1:麦酒夜宴とかM3秋とか麦酒夜宴とか