HGBCプトレマイオスアームズ(#無塗装も楽しい)

 HGBCプトレマイオスアームズをおいさまさん主催のプラモデル無塗装完成コンペ「#無塗装も楽しい」参加作品として作りました。

市販の一般的なプラモデルであれば、なんでもOK。
【無塗装】で完成させる。
塗料やマーカー・ピグメント等塗料系以外の接着剤、パテ類、シールやデカール類は自由に使用可能。
完成写真は一枚は必ず元BOXと一緒に撮影したものを使用する。

  レギュレーション上、パテ使用はOKなので肉抜き穴埋めだけして製作が止まっているキットを使おうと思ったのですが、折角なのでこの企画のためのキットを買ってきました。

 そうして完成したキットがこちらになります。

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 元々はHGBDセラヴィーガンダムシェヘラザードの武装パーツ(の単品販売)なのですが、独立した〝こういう形の艦船〟という解釈で作ってみました。シルエットを強調するため艦首にシールは貼っていませんが、ランナーの構成上艦首パーツが余るので、一度分解すればシールを貼った艦首パーツに付け替えることも可能です。

 『機動戦士ガンダム00』の母艦プトレマイオスを模した武装ユニットという設定のため、スケールは1/144ですが艦尾は左右に分離する独自の構造となっています。

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 完全無塗装です。ヌッテナイヨ。
 最近、模型の撮影をiPhoneのカメラからうっかり死蔵していたデジカメに切り替えたのですが、写真がまだまだ下手くそです。
 デザイン上、元になったプトレマイオスと異なりコンテナの先端がほぼ艦首と同位置に来ます。

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 艦尾部もやはりプトレマイオスとは異なり、エンジンブロックが左右独立したユニットになっています。艦尾は艦首と比べると前後の長さがそこそこ確保されているため、この角度から見ると結構スリムなシルエットが出ます。

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 正面から見ると艦首の寸詰まり感はあまり感じませんが、このアングルから見た際に艦首のシールを貼ってあると──艦首上部が白いと──艦橋窓までの距離感が測れるので貼らなかったのです。段差が強調されるので、実寸より長く見えるわけです。ヌッテマンセンヨ。

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 逆に艦尾は真後ろから見ると中央ブロックの分割部までの奥行きがそれほど無いことがわかります。記事を書いていて気付いたのですが、右舷のコンテナが少し下がってますね。上部コンテナは少しだけ上下角を変えられます。

 表面処理(ゲート跡処理含む)は徹底してやっていますが、パーツの合わせ目消しは一切やっていません。作っているときは中央ブロックの分割線が気になるかと思っていたのですが、実際に組んでみるとデザインとして十分有り得るラインだったのでそのままにしてあります。全塗装するときも同じで、有り得るラインと解釈できる場合はあえて消さないことにしています。これは、元のデザインであるイラストと立体物である模型との解釈の違いですね。スケールモデルなど実物が存在する場合はまた別の話ですが、架空のメカだからこそ選べる選択肢だと思っています。

 近いサイズの模型と比較するとこんな感じです。

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 OVA青の6号』DVD-BOX付録の6号りゅうおうと並べてみました。りゅうおうの方は塗装済み模型ですが、こうした既製品と並べても中々見られる出来だと思いません?
 キットの素性の良さが表れていますね。
 プトレマイオスアームズ(プトレマイオス)は海老川兼武さんのデザインなのですが、海老川さんは『青の6号』にも参加しています。

 OVA青の6号』のメカデザ担当割はDVD-BOX付属冊子によると、

前田真宏さん:6号りゅうおう、ノボ、ムスカ
河森正治さん:1号コーバック、グランパス
山下いくとさん:7号ウーメラ、8号シャン、ブルードーム原案
きお誠児さん:3号マラコット、9号シンハー
海老川兼武さん:0号、自衛隊関連(通常動力潜水艦なるしお等)
村田蓮爾さん:グランパス・パワードスーツ部
草彅琢仁さん:ナガトワンダー原案 

  となっています。グランパスについては前田さんがインタビューで「デザイナーが異なるものをワンパッケージにするのは、普通はやってはいけないことですから、河森さんも悩まれたと思います」とコメントされています。

 最終決戦に参加したメカ(6号りゅうおう、8号シャン、3号マラコット、グランパス、0号 VS ナガトワンダー、ムスカ)は、全デザイナー総集合だったわけですね。

  話が逸れましたが、〝こういう形の艦船〟という解釈で作るため、艦橋窓を強調したいところです。買った時点ではこの部分が出っ張っていると思っていたのですが、幸いなことにツライチ(面一:面と面に段差がないという意味)だったのでシールの余白を適当なサイズに切って貼りました。

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 こんな感じですね。
 工程としては、青いパーツのスリットより少し幅広にシールを切って、切ったシールを貼る面にあてがって長さの見当を付け、ちょん切って貼る、これだけです。使っているカッターナイフは、タミヤの模型用カッターナイフです(替え刃はオルファ)。
 注意点としては、貼る前に表面をキムワイプなどでよく拭いておくことと、ピンセットを使って貼ることでしょうか。別に指で貼っても良いのですが、シールの糊の面に指脂が付くと剥がれやすくなります。固定の際もピンセットの平面を使ってならしていくとしっかり貼り付きます。

 

今回使用した工具と工作について

 工具の名前をあれこれ出してしまったので、今回使用した工具を並べてみました。 

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 下に敷いてあるウェーブのカッターマットも含みます。スポイトは水を使用する際に使います。

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 ニッパーが二種類あるのは、ランナーの切り出しには使い古しのタミヤの精密ニッパー(刃こぼれしている)を使い、ゲートの切断にはゴッドハンドとコトブキヤのコラボ商品コトブキニッパーを使うためです。
 最近のガンプラ(特にHG)は、ニッパーのアクセスエリア(工具を入れる空間)が狭いため、この様に対処しています。

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 大抵はコトブキニッパーで事足りるのですが、どうしても切り残しができてしまう場合があるので、その際はデザインナイフで削ります。金属ヤスリはデザインナイフだとパーツ本体まで削ってしまいそうな場合に使用します。右端にあるのが模型製作で普段使いしているピンセットです。全部タミヤですが、特にコダワリがあるわけではありません。

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  今回から本格導入したゴッドハンドの神ヤス!(スポンジヤスリ)アソートです。これまで金属ヤスリでは行えない研磨には、タミヤのフィニッシュイングペーパー(紙ヤスリ)を使っていたのですが、模型界隈で評判の良い神ヤス!を導入してみました。
 金属ヤスリを結構使うのと、フィニッシュイングペーパーのストックが十分にあるため、使用頻度の高い600、800、1000番のアソートからはじめて見ました。水研ぎにも対応していますが、空研ぎでのみ使っています。水研ぎするときは、フィニッシュイングペーパーを使っています。てか、神ヤス!最高です。これはもう手放せません。
 神ヤス!1000番で研磨したらもう最終仕上げに入れる状態だったので、この先はコンパウンドに切り替えました。

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 Mr.ホビー(GSIクレオス)のコンパウンド細目(3000番)と極細(8000番)です。要するに液体ヤスリのようなものです。厳密には異なるのですが、私はそういう感覚で使っています。
 コンパウンドは付属の不織布に染み込ませて使います。神ヤス!1000番の切削面をコンパウンド細目でならし、水を染み込ませたキムワイプもしくは綿棒で掃除してからコンパウンド極細で同じように磨くと元のプラ素材とほぼ同じ光沢が得られます。
 やり過ぎるとテッカテカに光ってしまったり、削りすぎてパーツの形が変わってしまうのでちょこちょこ様子を見ながらやります。ぶっちゃけ、面倒なのですが、成果がすぐ現れるのでやり始めると楽しいです。

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 これが何度か書いている日本製紙クレシアキムワイプです。導入後、作業効率がかなり向上しました。紙のカスが出ずしかも薄さに対して破れにくいため乾燥面の拭き取りはもとより、吸水性が良いので水を染み込ませての掃除や塗装の際に筆などの器具を掃除するのにも使えます。

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 綿棒はダイソーで売っている綿棒と細い綿棒(赤ちゃん用綿棒となっている場合もあります)の二種類を使い分けています。爪楊枝はモールドなどにコンパウンドが入り込んでしまった際に使います。これらはダイソーで売っていた三分割されている綿棒ケースに綿棒、細い綿棒、爪楊枝を仕舞ってあります。
 ハサミはクローバーの裁縫用ハサミです。主にシールやデカール、今回の場合なら不織布を切る際に使います。
 水用のコップは法事の際にもらったお酒に付属していた蓋件盃です。

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 こちらもダイソーの商品。本来はタッパー掃除用のブラシなのですが、金属ヤスリの目の掃除に使っています。白い四角い物体はメラミンスポンジの30mmブロックで、神ヤス!の掃除に使います。ぶっちゃけ、メラミンスポンジで表面を擦ってもそれなりの効果はあります。 定規も100円ショップの商品ですが、目盛りの反対側にカッター用の金属プレートが入っているものを使っています。

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 縁の下の力持ち、ファンテックのツールキーパーと組み直しの際の必須アイテムウェーブのパーツオープナーです。
 このツールキーパーは近年発売された新商品で、製作中に工具を一箇所にまとめておけるので非常に便利です。ニッパーも刃の部分を奥のバーの下に合わせておくとしっかり立ちます。

  これらの工具は模型を作っているうちに増えていったものですが、長く使っているものは代替わりしていて、ニッパーはコトブキニッパーで四代目、デザインナイフは二代目(ただし刃は交換している)、金属ヤスリは二代目か三代目でそろそろ更新を考えている時期です。

 時折、模型を作るのにどの工具が必要なのかわからないといった疑問を見かけますが、ぶっちゃけニッパー以外は作っているうちに「こういう道具があったら良いのに」という壁にぶつかると思うので、それに応じて揃えていけば良いと思います。

 

 あとは、どんなものに仕上げたたいかというイメージですね。

 たとえば、今回の無塗装コンペではレギュレーション遵守と先に書いたコンセプトの他に佐藤明機さんの作品世界から受けた印象を混ぜ込んでいます。

 具体的にはこの様に(『ビブリオテーク・リヴ/楽園通信社綺談』より)。

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 中身のメカニズムというか妄想寄りのイメージは美加ちゃん先生(明貴美加さん)ですね、やっぱり。

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 ずばり『銀河お嬢様伝説ユナ』です。最近、どうやってもこのモチーフから受けた影響からは逃れられないと悟ったので、これをどう自分のやり方で表現するかという考え方をあらためました。
 とりあえず、なぞりやすい宇宙船から攻めてみました。

 なお、スタンドはこれを使っています。

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 この手のスタンドではコトブキヤのフライングベースシリーズが良いのですが、ちょっとしたものを固定する際にはこれで十分です。figmaを挟めるパーツもありますし、ベース自体が軽くても問題ない場合は事足ります。
 ガンプラの場合は各シリーズに対応するスタンドベースを使うと良い感じです。HGならあんまり気にしなくても良いのですが、MGや重量級キットの場合はベースの表面積は広くそれなりの重さがあるものを使わないとずっこける危険があるからです。

 

  さて、ここまで読んできて、こんな疑問を持った方がいると思います。

 「無塗装で作るのにそこまでやる必要があるんですか?」

 

 結論から言うとコンペに参加する上でも、塗らない前提だけで作る上でもコンパウンドまで持ち出してやる必要は無いです。 

 じゃあなんでやったんですか? マゾなんですか? マゾなんですね! コンパウンドのくだりで「面倒なのですが、成果がすぐ現れるのでやり始めると楽しいです」なんてもっともらしい事を書いているのも、本当は焦らされるのが好きなんでしょう?! 充電くんの刑みたいに! 充電くんの刑みたいに!(※)

 ……冗談はさておいて、過去に「完成させることを最優先に作ってみたらどうだろう」と思って試したことがあるのです。

 結果、完成した瞬間にジャンクパーツの塊ができました。愛着なんて1ナノもわかない。これはキットの素性がどうこうって問題じゃないです。目的が完成だけなので、コンセプトもイメージもあったものではなく、作っていても楽しくなかったからで、完全に私の性格気質によるものです。
  そもそも、今回の無塗装コンペは「無塗装〝も〟楽しい」なので、自分が楽しめるやり方を選択したら、表面処理の沼に入ってしまったわけです。楽しかったですけどね。後から手を加えることはなく「これで完成」と言い張れて、自分が納得できるものを作ることを目指したこともあります。

  面倒くさい性分を再確認しました。

 
※充電くんの刑:アニメ『フレームアームズ・ガール』の小ネタ。充電くんと呼ばれる充電ユニットと繋がったケーブルのコネクタをフレームアームズ・ガール側のコネクタに短い間隔で抜き差しする。たとえるなら、敏感な部分を突っつき回すような感じだろうか?

 

関連リンク

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