ダビデ像!(挨拶)
めそさん(3 on 10)の夏コミ新作ノベルゲーム『永遠に美しき冬よりも - It will be covered with the white. 【さっくり体験版】 』をプレイしていました。
ん、文体が変?
いいんです、プレイしたのは、体験版が公開されたその日(7月17日)ですから。
つ、ま、り、いまから二週間前のことなのです。
お話の内容はこんな感じです。
はてなの引用を使っていますが、以下の文章はこちらで書いたものです。
冬になると、毎朝雪を掘ることを日課にしているユキオ。受験を控えた今年は、両親が家にいないこともあって、幼馴染みの千春に弄ばれつつ何かと世話になっている日々。
クリスマスを数日前に控えたある日、いつものように雪を掘っていると、幼い少女を掘り当てる。自らを「神様」と言うハイテンションな少女を持ち前のローテンションでかわそうとするユキオだったが……。
神出鬼没を極める自称:神様に翻弄され、仕方なく話に付き合っていくことになる。そして、幼い少女の姿をした神様は、こう言った。
『──アナタの『願い』を、ひとつ叶えてあげましょう』
選択肢はルート分岐に関わるもの以外、ほぼ出てこないノベルゲームです。立ち絵の細かな動きの他、ちょっとしたミニゲームもあるためか、メッセージ・ウィンドウは下部に表示され、文章に対して絵の領域を多く取っています。
概要はこんなところで、感想の前に注意事項を神様から。なお、以下の画像は全て原寸大ですので、クリックしても大きくなりません。
要するに十八禁です。
身も蓋もない言い方をすれば、エロゲーです。ただし、個人的な予測では幼い容姿の神様ときゃっきゃうふうふ(死語)なスキンシップ(隠語)というような展開ではないでしょう。
このNOTICEは、音声入りで起動時に神様か千春かのどちらかが出てきます(Ctrlでスキップ可能)。それから、画面に書いていないこともしゃべります。
神様に至っては、ひと通り説明をした後、「(前略)あなたの神様ここにいますよー!!」と強烈な自己主張をします。
神様が神様たる由縁は、体験版の中で語られています。
なにより、このゲームはロー・ハイ・ミックスで退屈しないところが最大の魅力であり、最初の時点でどういう主旨のゲームなのかが示されます。
福引きか! と思わず突っ込みそうになったくらいです。
神様がいきなり登場するシーン他にも幾つかあるのですが、思わず笑いがこぼれること請け合いです。
中でも「ダビデ像!」は秀逸でした。しばらく頭から消えそうにありません。すっぽんぽんの幼い少女が少しとぼけた笑顔で自由の女神ばりのポーズを決めている絵がボイス付きで永久ループのリピートリロードです。(神様風)
どういうシーンかは、ご自分の目で確かめてください。
くわえて、神様を演じる貴坂理緒さんの演技と滑舌が素晴らしく、すさまじい早口が正確に聞き取れます。神様すっぽんぽんで会話するシーンがあるのですが、可愛らしくえらそうなセリフ回しが面白いため、会話の方に意識が行きます。
超絶早口でノリツッコミ、一人ボケツッコミをかますコメディ体質。
いとけなくて純粋に可愛いらしい性質。
理路整然と「神」の存在定義を講義してのける理知的とさえ思える性質。
これらが全て同居していて、かつキャラクターが一貫しているところが魅力的でした。
めそさん曰く「貴坂さんは自分以上に神様というキャラクターを理解していると思います」とのことでした。
この大喜利も神様が言うから面白いのであって、ぶっちゃけ声がなかったら半減するでしょう。
ゲームに声を入れる意味があるかないか、というのはフルボイスが当たり前になっても、いまだに語られるところです。特に読み物の性質の強いノベルゲーには、音声が絶対必要だとは思いません。いっぽうで、必然性があるのなら、音声は入れるべきだとも思っています。
これは何を意味しているかというと、声優さんの演技による効果とそれを踏まえたシナリオか否か、ということです。
その点『とわうま』は、これなら絶対必要と言えます。
神様の御言葉は、ときにメッセージ・ウィンドウの表示限界を超過しても続きます。文章がおっつきません。神託は耳をかっぽじって聞けということですね。
というのは、半ば冗談でして。
エンジンの仕様上メッセージ・ウィンドウに収まりきらない台詞はあえて文章表示せず、音声のみに絞るという神様限定の演出なのだそうです。
たとえば、ですね。
「ええ、はい。そうですよ。化石資源は大切にしないといけません。いずれ枯渇するエネルギーなんですから。人間が浪費するための貴重なエネルギー資源なんですから。それよりも普通に円をください。日本『円です。ばっさばさとお賽銭箱に投げ込んでください。ドル? ユーロ? 違います。あんなものは全部紙切れです。人民元じゃないです。もっと結構です。みんな使い道ないです。だって私、国産の神様ですからー。ジャパニーズ・マネーを所望します〜』」
このうち『』で括った部分は表示されません。そして、バックログでも表示されません。理由は「(改ページや表示切り替えをするより)その方が神様らしくなると思ったから」だそうです。
仕様上の制限を逆手にとって、演出として活用しています。
ナイスです。
神様以外のキャラでは、主人公ユキオを演じるJOYさんのテンション低さ、気怠さ加減がまったりしていて良いです。
これは個人的に重視している点でして、一人称で進行するノベルゲーで主人公に好感が持てないとやってっられないのです。ボイスがある場合はボイスをオフにして読み流します。
千春は、演じている渡会ななせさんの声による雰囲気作りもあって、テンプレート的な幼馴染みというより気心の知れた女友達といった感じが出ていてて好感が持てました。
もちろん、これは普段の日常で接している際の態度のことです。エロゲーで最もスキップされやすいところでもあります(そういうものです)。
あと、コメディ体質なのは神様だけではありません。何気にこんなミニゲームが出てきたりします。
ここで、千春が夕飯後に出すクイズの選択肢は、何度かパターンを試してみたのですが、ヒントのうちで別のヒントに影響を及ぼすものは、どの順序で選んでも、しっかり反映されます。
同時に、ただのコメディではありません、ということをこの体験版はさっくり教えてくれます。あと、神様は言葉の中には90年代のネタが多分に含まれているのはなぜでしょう。
先の展開を知っているような書き方ですが、単に伏線からの予測です。
弱々しいこの姿は、どこのどなたでしょう?(白々しい)
それから、現在確認されており、製品版での改善予定となっているもので、環境によってはバグと思われるかもしれない部分を書いておきます。
体験版での最後となるシーン終了後に、環境によっては強制終了します。
これは、描画に使用している圧縮形式に起因するもので、製品版ではより普及している形式にするのことでした。
他にもいくつか感想と一緒に重箱の隅をつつくにも等しい内容をメールしたのですが、めそさんはすべて丁寧に返答してくれました。
だからこそ、事前に外部の人間がここまで書けるわけです。
このやり取りが可能だったのも、全てこちらがちょうど暇なときだったからです。でなければ、この記事は存在しません。
なお、公式サイトで公開されていないスクリーンショット(含むイベントCG)の使用は、めそさんから許可を取りました。基本的に体験版のレビューなどで使うのであれば、スクリーンショットは使って良いそうです。
全体的に期待通りで、神様に関しては期待以上で楽しめました。実は必須環境を満たしていないので、完成版がマトモに動作するのかが唯一の不安です。
あ、いま気が付きましたが。同人ゲームの事前レビューを書いたのは、はじめてかもしれません。何気に最初の概要紹介のところは、過去の経験がモロに出てますね。あはは……(遠い目)。
最後に長めの余談を書きます。
PCゲームには推奨環境(=快適に遊べるスペックです)と動作環境(=動かすのに必要なスペックです)があります。
先にも書いたとおり、推奨環境どころか動作環境に全く足りない環境でプレイしていました。なにせCPUが1.06GHzですからね。当然のように、モニターもワイド対応ではありません。
しかし、PC周りがもはやいまのスタンダードからは「おっくれてる〜」のですが、ゲームを除外すれば公私ともに何の問題がないので、この状態でしのいでいます。作詞のための音源再生に支障さえなければ、事足りるのです。
最近、ヘッドフォンとMIDIからスコアを書き出すツールも導入しましたし……と、話が逸れましたね。
参考までにプレイ環境を列記します。
OS Windows XP Pro
CPU 1.06GHz(Core Solo)
メモリ 1.49GB(最大まで拡張)
解像度 1024x768(最大)
カラー 32bit-Color(最大)
サウンド DirectSound対応(ただしオンボード)
DirectX 9.0c
全然、足りていませんねー。
エンジン設定で負荷を最低にしても、ボイスと画像エフェクトが若干遅くなります。
ですが、ゲームを楽しむには十分でした。
実際、ワイド画面対応ではなくとも、最大化すれば画質の大きな遜色はありません。よってムービー再生は、デフォルト設定のままでも基本的にプレイは可能です。
また、この環境でデフォルト(Direct3D使用)でプレイしても、時折ボイス再生が遅れるほかは、画質が上がる以上の差異はありません。もっともCPUへの負荷を考慮すると、処理を軽くした方がいいかもしれませんね。同じく足りない方は(極めて語弊のある表現)。
このゲームの要求スペックの高さは、製作側ではなく使用しているエンジンに起因するように思えます。というのは、ほぼ同じかそれ以上の画面エフェクトを使用しているゲームの必須CPUクロックがこの半分の1.06GHzで、問題なく動いたからです。
ただし、CPU使用率は、ほぼ100%に達します。
これは、エンジンを自社開発できるメーカーと、既存のエンジン*1に頼らざる得ないことの多い同人サークルとの差異なので、動いたことはむしろ称賛して然るべきレベルです。
さらに余談ながら、体験版をプレイしていたら、ついデバッグまがいのことまでしていました。いやあ、かつて仕事でやっていた頃には「もう、ゴールしても良いよね?」という気分になったノベルゲーのデバッグをなぜ進んでやったのでしょうかねぇ。
ただ『とわうま』に関しては、発表初期段階でアンテナがなにかを受信して、これは当たりだぜ、と見ていました。体験版も即プレイしたのですが、これはタイミングが良かったこともあります。
体験版の公開が一日遅かったら、作詞週間に突入してプレイできませんでした。
この辺の話は、要するに夏コミ関連ですので、近いうちに告知します。
でもって、このレビューも間隙を突くようにして書きました。
要するに、たまたま暇なときだったから勢いでデバッグまがいのことまでして感謝されたのは嬉しいのですが、そこで終わったら勿体ないじゃないですか。いつもいつもブログのネタに困っているのだから、活用しない手はないじゃないですか。
だって、何気にこのブログのアクセス数は、本体サイトより多かったりするのです。正直、何を期待されているのかさっぱりわからないのですが、どうせ何かを発信するのならば、局所的であっても情報となり得る内容の方が良いと思ったからです。
みんなハッピーなのがいいじゃないですか。
ねぇ、神様。
「人間が抱きがちな過ぎた望みではありますが、そうした希望すら抱かない輩よりはマシですね。多分に趣味的な行為ではありますが、善意も悪意もなくただ己の意志による行動には一定の評価をしましょう」
(こほん)
「では、ジャパニーズ・マネーをください。この際ですから多寡は問いません。え『賽銭箱に投げ込むのは五円玉と決めている』と? それも信心のひとつの形ですが……え、なんですか? 『むしろ自分が欲しいくらいなので、雪の代わりに万札を降らせてくれませんか』と。ああ、良いですねぇお札がこうばっさばさと降ってくる……って、こらー。神様に無心するとはなんたる不敬ですか、この莫迦者ー!」
おあとがよろしいようで……嘘ですごめんなさい全然よくないです。