『新しい世界を生きるための14のSF』ハヤカワ文庫

 

 最近出版されたSFに触れていないなー、という気がしたので読書保留リストの中から比較的新しいものを手に取ってみた。

 AI、愛、実験小説、宇宙、異星生物、動物、超能力、改変歴史、言語、環境激変、VR/AR、バイオテクノロジー、想像力、以上14のサブジャンルに分けられた14の短編を収めたアンソロジー集。

 巻頭の前書きに「800ページ超えの超重量級の1冊なので一気に全部読もうと思わないで、一作づつカジュアルに読んでください(大意)」といったことが書いてあるように、本棚に突っ込んで置いて気が向いたときに一編ずつ読むのが良いんじゃないかな。

 なかなか読み終わらないので深刻に読書のスピードが落ちたのかと思ったりもしたけれど、なにせ800ページもあるのだ。1冊で2冊分(下手すると3冊分)読むくらいの気持ちで読むべきだったな、と残り3作くらいの地点で気づいた。

 電子書籍で読んでいると物理的な重さを感じないので(感じるのはiPadの重さ分だけ)、本の厚さを見誤りやすいのもあると思う。

 

 まとまり方としては「第二回小さな小説コンテスト(さなコン2)」の方向性に近いように思えた。サブジャンルに終末が入っていれば、百合もあるのでほぼさなコン2の様相である。さなコン2の最終選考結果に百合は残らなかったけどな。

 

 読んでいて感じたのは「ここ五年間に発表されたSF短篇の中から、作家・伴名練の考える傑作を選りすぐった一冊」と謳っているだけあって、合う合わないはあるにしてもどの作品にも目を惹かれる部分はあった。合わない場合は「合わない」というその理由こそが目を惹かれた部分である。

 

 最近のと言いつつこれもすでに1年前の本なので、新刊が出たらすぐ買って読む習慣を取り戻していきたいと思う。