『指輪をしたアンドロイド\観測者の歯車』AMPERSAND YOU

 nkさんとこの二枚目のCDです。

 実物はこんな感じ。小さな手はうちの神姫(ストラーフ1st)。詳細はこちら


「指輪をしたアンドロイド」

哀愁さえ感じる歌詞はやがて、きわめてシニカルな物語を顕わにする。

うっかり見逃すところだったのだけど、「君」がいったいどんな姿をした「ひと」なのか、合成樹脂の肌を持つなにかという事以外一切明記されていない。

人間から小さなブロックまで
感情があれば『ひと』とされるこの時代で

この前提があるので、上記に事に気づいてしまうと「君」の不明確さが少し恐い。
「合成樹脂」という音韻から個性重視という言葉を想起したのだけど、これは狙ったのだろうか。
「無個性な私〜どうかしてると思う」の部分こそ、この歌の視点である「私」の個性の表れだと思った。
さらに「愛らしいそばかすのある人間の少女」が「私」と「君」、それぞれの対比になっているので、「人間に模した姿」を持つ「私」の姿形さえおぼろげなものとなる。

このいまにも崩壊しそうな組み合わせを支えているのが、Annabelさんのボーカルで、逆にそれによって整合性が取れているので、上記のことに気づかないままでいたかもしれない。
それも、素直にアンドロイド=人間を模した姿の人工生命体と捉えた場合の話で「私はアンドロイド」と強調しているところから、アンドロイド=男性形/ガイノイド=女性形という見方から、女性視点ではなく男性視点ではないのかと思ってしまうと、さながら自分が読み落としたのではないかと本のページをめくるような思いに駆られる。
実にSF(アン・マキャフリィとかジェイムズ・ティプトリー・ジュニアとか)らしいシニカルさにあふれた歌だと思う。


「観測者の歯車」

存在が消え去ることそのものには、一瞬も途方もない時間の経過も変わりない、という結果のみ注視した事実と結果に至るまでの過程から思い知らされる現実の対比は、後者の尊さを強調するとともに残酷ですらある。

最初は比喩として出てきた言葉が、そのままの意味で出てきた際、君を思う視点となる誰かのことを思うとせつない。
さらに、茶太さんの歌声が消え入りそうな言葉に儚さを添えている。

「指輪をしたアンドロイド」に対して、こちらはストレートなので続けて聴くとさらに言葉が染み入る。



 息抜きに模型(HG モンテーロ)を作りながら流していたとき、思いついたことを書いてみただけだったりします。 とはいえ、書いている内容は真面目ですよ。
 一枚目の『宙を巡る君へ』は、本人に直接感想を話したので、あえて書くまでもないかなーというのは言い訳で機会を逸してしまっただけです、はい。
 何気に、昨年は余裕なしなしのぎりぎりかつかつで回していました。イベントに行っていた、と言うよりはイベントに逃げ込んでいた風情でした。
 今年はそうはならないようにしたいなあ。