小野寺こころ『スクールバック(1)小学館

 

 とっさに作る笑い、言えない本音、押し殺してしまう声、そんな高校生活(学内外)の中にある理不尽との葛藤を丁寧に描き出して、それでいてくすぶったまま終わらせない構成の巧みさを感じた。

 視点の切り替えも上手くて、それぞれのエピソードの主人公を明確にしつつ伏見さんの視点をちょいちょい織り交ぜて、その時々の問題を俯瞰できるので心情と背景事情をとらえやすくなっていると思う。

 なにより伏見さんが非常に愛嬌があって魅力的なので、小さな変化を追ってしまう楽しさがある。

 おすすめです。