小川一水『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ3』早川文庫

 

 これ続くよね?(疑問) 続くよな(確信)という終わり方だった。

 

 二人が出会った最果ての星系を飛び出して、銀河をまたにかける逃避行。天然でうかつなテラと跳ねっ返り娘ダイオードの旅路が平穏なはずもなく、行く先々でトラブルが起きる。

 トラブルの原因は彼女らにあるわけではないのだけど、基本的にお人好しなテラが人助けをしたがったり、テラ以外に過剰な警戒心を持つダイオードの対処が裏目に出て、二人が事件の当事者になってしまう。

 25歳と18歳。年齢的な若さよりも二人がそれまで過ごしてきた銀河辺境惑星が小さく閉鎖的で排他的な社会だったため、ものの見方や捉え方が狭まってしまった。因習社会の怖さがそこから離れてもなお追いかけてきた感がある。

 

 そうした背景があるため、二人ともしがらみを嫌うのだけど、二人で生きていくことを選んだ以上は自らあらたなしがらみ(関係性)を生み出すことでもある。二人なら二人の、そこから発展して自分達の子供を含めた家庭を築くことに繋がる、という視点がテラにもダイオードにも欠けている気がした(あるいはそれを自覚することからも逃げている)。

 そのため、二人の間ですらすれ違いが起こり、一方が幼さを見せるともう一方が理性的にたしなめる、という構図が見られる。この二人、強く結びついているようで実はかなりあやうい関係なんじゃないか、と思わされる場面が多々あった3巻だった。

 

 小川一水作品はこのシリーズしか読んでいないので、超光速航法の背景だとか銀河に広がった人類の形勢だとか拾いきれていない部分があるような気がした。壮大さというかスケールの大きさは感じるのだけど、読者である自分はテラとダイオード以上にそうしたあれやこれやを知らないので、風呂敷が広がっていくたびに散漫になっていった感は否めない。『天冥の標』を読んでいると違うのだろうか?

 

 さまざまな問題提起がされた3巻だと思うので、これからの答えあわせが楽しみではある。